脳の成長は、脳酸素の効率がよくなる方向に進むことがわかってきた。運動ものんびりゆっくりといろいろなことをチェックしながら行うと、酸素効率は格段にアップするのである。何でも急いで、速く行うと脳がうまく働くように錯覚する。しかし、のんびりゆっくりと隅々に気を配って行うやり方のほうが、脳の酸素効率はアップしやすい。 本書で提唱されているロニジョグには、脳の酸素効率をアップするためのエッセンスが凝縮されている。著者のリュウサキタツヤ氏は、「ゆっくり行うことで、心の内側に入ることができ、集中して体の動きの感覚やイメージをコントロールできる」と述べているが、私自身の体験から大いに共感できるのである。 本書には、脳が楽に酸素を使うための心得と方法がわかりやすく整理されている。「あたまがよくなる運動」を日々活用し、その効果を実感してもらえればと思う。 ──「ロニジョグ」は、すごく楽な運動だと聞きました。そんな運動で、脳活性、ダイエット、心身の疲労回復、免疫力アップなどの効果が期待できるって本当なんですか? はい、本当です。 1日にほんの10~20分、『あるいくつかのこと』を意識しながら、のんびり楽に走るだけで、効果が実感できるのです。忙しい方は、5~10分のすきま時間を1日2、3回利用して走ってもかまいません。3日もあれば楽に走れるようになり、3週間でちょっとした変化を感じるはずです。
──走るときに意識する『あるいくつかのこと』とは? それが「ロニジョグ」を特徴づけるロニ(RONI)理論なのです。 RONIの4文字は、次の4つのことばを指します。
──しかし、運動は疲れるし、走るとひざを痛めたりもするので、敬遠する人も多いのでは? それは、そのとおりです。疲れるほどハードな運動をするとヤル気もなくなりますし、免疫力も下がります。ムリをすれば膝や腰を痛めます。しかし、ロニジョグは疲れるどころか、疲労性の肩こり・腰痛に作用し、カラダがスッキリします。疲労をためるのではなく、疲労を取ってくれるのです。開発当初は「ロニジョグ」をマッサージランニングと言っていたくらいです。しかも、走るといっても初心者は歩くスピードでOKです。早歩きではありませんよ。普通に歩くスピードでOKなのです。
──ところで、走ることで脳が活性化するとはどういうことでしょう? 運動で頭までよくなるなんて聞いたことがありませんが……。 いえいえ、科学的にも裏づけがあるのです。詳しくは本書をお読みいただきたいのですが、軽いランニング中は、特殊な意識(変性意識)になりやすく、自己暗示をかけやすいのです。さらに、ロニジョグでは、呼吸法、栄養、感情のともなったイメージなど、さまざまなテクニックで潜在能力の成長に好ましい環境を整えることができるのです。
──ほかに「ロニジョグ」の特長があれば教えてください。 ロニジョグには、とびきりのうれしい効果があります。それは、「チョー気持ちいい」を実感できるということです。ロニジョグは、気持ちがよくなる、つまりいわゆる高揚感、多幸感を感じる『ランナーズハイ』を効率よく促すメソッドでもあるのです。イライラしてストレスがたまり、酒やタバコ、パチンコなどのギャンブル、買い物、グルメにのめり込む方は多いと思います。酒、タバコ、ギャンブル、買い物、おいしい食べ物は、いずれも脳の中で快感ホルモンの分泌を促すからです。 流行りの通販器具やDVDを買って運動をしようとして続かなかった方も、ロニジョグならもっと手軽に、気持ちよく続けられると思います。 さて、本書ではロニジョグをわかりやすく説明するため、2人の登場人物──「松村邦彦」と「東山紀子」の対話を中心に展開します。松村は、肩こり腰痛持ちでメタボ。酒、タバコはやめられずストレスがたまるばかりの45歳。先輩・東山の導きで、彼がどのようにロニジョグを学び、人生を変えていくのか──。 あなたも、松村とともにロニジョグをマスターし、理想の自分をめざして日々実践してみてください。
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