刑法改正を迫られた2004年◆集団強姦罪従来の強姦罪のように親告罪(被害者からの告訴がなければ起訴されない)ではなく、告訴がなくても容疑者を起訴することができる犯罪。2003(平成15)年、早稲田大学のイベントサークル「スーパーフリー」のメンバーが集団で女性を暴行したとして逮捕された。快楽のために組織的に卑劣な犯行を繰り返していたこの事件の衝撃は大きく、04年、刑法に集団強姦罪(4年以上20年以下の懲役)、集団強姦致傷罪(無期または6年以上の懲役)が新設された。 編集部注:05年1月に札幌で初めて集団強姦罪が適用された逮捕者が出ている。 ◆人身売買罪暴力団関係者などが売春や強制労働の目的で外国人女性を入国させるような事例が多く、海外からの批判が強くなっていることから人身売買を禁止する目的で2004(平成16)年に刑法上新設された犯罪。人を買い受けた場合、3か月以上5年以下の懲役、被害者が未成年の場合や営利・わいせつ目的の場合はさらに量刑を重くするなどの内容となっている。05年2月の通常国会に人身売買罪新設を含む刑法改正案が提出される予定。 ◆逮捕・監禁罪の厳罰化正当な理由なく人を逮捕または監禁する犯罪。逮捕・監禁によって被害者にケガを負わせれば、逮捕・監禁致傷罪となる。2000(平成12)年、新潟県柏崎市で9年もの長期に渡って監禁されていた少女が発見された。行方不明当時小学4年生だった少女は19歳になっていた。犯人として当時39歳の男が逮捕され、その後逮捕・監禁致傷罪で起訴されたが、逮捕・監禁致傷罪は10年以下の懲役であり、9年という監禁期間に比べて量刑が軽すぎるという声が上がった。検察は犯人が過去に犯した窃盗罪と合わせ併合罪(2つ以上の罪を犯している場合、量刑が重いほうの1.5倍の刑を科す)を主張して懲役15年を求刑。最高裁で懲役14年の刑が下されたが、この事件をきっかけに逮捕・監禁罪の厳罰化が検討された。05年の通常国会で現行の5年の上限を7年に引き上げる刑法改正案が提出される予定。 ◆略取・誘拐罪の目的「略取」とは、脅迫や暴行などを加えて無理やり連れ去ること、「誘拐」とはうそや甘言などで相手を誘って連れ去ることをいう。被害者の多くは未成年だが、最近は成年も多くなっている。2005(平成17)年2月の通常国会に提出予定の刑法改正案では、略取・誘拐罪の目的として従来の営利、わいせつ、結婚に加えて「生命もしくは身体に対する加害の目的」を盛り込んだ。 ◆法定刑引き上げ法律上に規定された刑罰のこと。日本では、犯罪の種類は法律で定められており、犯罪に対して科せられる刑罰もまた法律で規定されている(罪刑法定主義という)。2003(平成15)年、法務省は近年の犯罪の凶悪化に対応することを目的として法定刑の引き上げに着手。04年の刑法改正で、殺人の法定刑は「死刑又は無期もしくは3年以上の懲役」から「死刑又は無期もしくは5年以上の懲役」に、強姦の法定刑は「2年以上の有期懲役」から「3年以上の有期懲役」に引き上げられた。また、有期懲役の上限が15年以下から20年以下に引き上げられた。法定刑の引き上げは明治時代の刑法制定以来、約120年ぶり。 |
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