勝ち組/負け組とは◆ウイナーズ・テイク・オール本誌1998年版収録。以下、
winners take all。有名スポーツ選手、大スターと普通の選手・スターの報酬はびっくりするほど大きな格差があり、一般の労働者の賃金とは異なる決まり方をしている。つまり他者よりどれだけ優れているかという相対的な格差、希少価値で決まり、客観的な基準で計った能力や人気度の差とは関係ない。コンピュータソフトの分野では「勝者が総取りをするのが常識」といわれている。このような現象を「ウイナーズ・テイク・オール」という。相対的格差で報酬が決る分野は、グローバル化が進み情報社会の進展に従って増える傾向があるといわれ、例えば、弁護士、医者、評論家、経営者等の報酬にもこの特徴が見られる。 ◆勝ち組/負け組日本の近現代史で「勝ち組/負け組」という場合、第2次大戦中から戦後にかけて日系ブラジル移民の間でおこった、日本の敗戦を認めるグループ(負け組)と、日本の戦争勝利を信じて負けを認めようとしないグループ(勝ち組)の対立抗争のことをさす。当時、ブラジルは日本と国交断絶・宣戦布告をしていて、日系移民は緊張した状態におかれ、また約30万人の日系移民の大半が僻地で農業に携わっていたため正確な情報が行き届かなかったという面があって、デマ情報がとびかった。これにあかした詐欺も横行、暗殺事件までおこった対立は1960年代までがつづいた。 ◆不況業種本誌1976年版収録。以下、
一般的な用語としての使い方のほかに、中小企業信用保険法に基づいて、中小企業の不況対策発動のために指定される業種をさす。中小企業庁が、需要が著しく減少した業種を不況業種として認定すると、その業種の中小企業が経営困難に陥った場合には、信用保証協会による融資を通常時の最高限度5500万円の倍まで借りられる。49年末現在では29業種が指定されていたが、50年3月には、さらに17業種が追加された。 ◆ニュー・プア(疑似貧乏)本誌1985年版収録。以下、
博報堂生活総合研究所がいい出した。テレビがあり、車もある。日常の生活に困っているわけではなく、そこそこの生活水準を維持しているが、といって生活にゆとりがあるわけでなく、逆に生活が苦しくなってきている感じ。これをニュー・プアという。よくみつめてみると、収入が伸び悩んでいるうえに、住宅ローンや子供の教育費と支出はかさまるばかりである。相対的貧乏感である。アメリカにはホワイト・プア(貧乏な白人)というのがあるが、それとは少し違っている。ホワイト・プアは白人の中の低所得者層だが、こちらは心理的には上または中産階級意識の中の貧乏感である。 ◆新自由主義本誌1999年版〔中南米用語〕収録。以下、
Neo-liberalism。経済成長を達成するためには、政府による経済主導・規制を撤廃して、経済活動、とくに貿易・投資を自由に放任すべきだとする理論、また、そうする政策。IMF(国際通貨基金)、世界銀行の強い要請により、中南米諸国政府は、緊縮財政、貿易・投資の完全自由化、公企業の民営化、公共料金の引き上げ、各種補助金のカットなど、一連の政策の実施を迫られてきたが、1960年代後半からのブラジル、70年代後半からのアルゼンチン、73年9月からのチリと、これらの政策は軍事独裁政権下において一定の「成果」を収めた。80年代半ば以降の文民政権下でも、この政策は引き継がれ、メキシコのサリナス政権はその典型であり、アルゼンチンのメネム、ブラジルのカルドゾ、チリのキリスト教民主党の諸政権下など、民政移管後も基本的に踏襲されている。ペルーの「庶民の代弁者」フジモリ大統領、人民主義的デマゴギーで96年8月に政権についたエクアドルのブカラム大統領も例外ではない。しかし、これらの政策の実施は、一方で貧富の格差の拡大、民衆の生活の悪化といった歪みをもたらし、各国の労働組合、市民運動はストやデモで抗議の声をあげてきている。エクアドルのブカラム大統領は97年2月、労働者・学生をはじめ民衆の反対で放逐され、同年7月のメキシコの選挙では、新自由主義反対を明確に掲げた民主革命党(PRD)が大躍進を遂げた。 ◆新保守主義本誌1991年版〔アメリカ用語〕収録。以下、
neo conservatism。1970年代の後半以降、アメリカにおいて支配的になった政治潮流。その特徴としては、<1>自由放任主義、<2>キリスト教との密接な関係、が挙げられよう。西欧では一般に保守主義は、貴族制や身分制を擁護し、資本主義的自由競争に対してはむしろ懐疑的で社会政策に強い関心を示すことも少なくない。しかし、アメリカの保守主義は徹頭徹尾自由主義的であり、政府の干渉をできるだけ排して自由競争や自由市場の原則を貫くことに熱心である。具体的には減税、政府規模の縮小、福祉の見直し、統制撤廃などが要求されることになる。第2のキリスト教との関連は、平等化の進行によって節度を失いつつある社会に、伝統的な価値や規律を復活させるため、キリスト教への信仰を強めようとする形で現れる。特にエバンジェリカル派やファンダメンタリストが大きな役割を果たしており、具体的には、妊娠中絶、強制バス通学、公立学校での礼拝禁止、同性愛などに反対し、アメリカ社会の道徳的浄化に努めるべきことを訴えている。 ◆しあわせ度本誌1973年版収録。以下、
三和銀行が昭和47年1月に発表した同行独自の福祉指標。国民所得、道路舗装率、賃金、犯罪発生率、消費者物価上昇率など、生活感覚でしあわせに関係するとみられる指標を33項目とり、これを6グループに分け(私的満足、社会的満足、働きやすさ、安全・安心、イライラ、生きがい)と分析したうえ、全体を総合したものを「しあわせ度」と呼んでいる。この「しあわせ度」は、日本を100とすると、アメリカ253、イギリス213、西ドイツ190、フランス187で、日本の低福祉がはっきり示されている。とくに、上・下水道普及率や公園面積などの「社会的満足」と交通混雑大気汚染などの「イライラ」とで、上記各国との開きが大きいとされている。 ◆グッド・ルーザーa good loser。負けっぷりのよい人。 ◆バッド・ルーザーa bad loser。負けっぷりのよくない人。a sore loser、a poor loser とも。 ◆ラッキー・ルーザーlucky loser。 大会の本戦出場選手が何らかの理由により出場できなくなった場合、予選の決勝で負けた選手の中からランキングの高い選手から順番に本戦に出場できるシステム。 ◆a two-time loser《俗語》再犯者。根っからのダメ人間。粗悪品。 ◆a three-time loser《俗語》常習犯。犯罪を重ね終身刑になるまでリーチがかかった囚人。 ◆a four-time loser《俗語》すでに“後がなく”すてばちの犯人。 ◆ベストルーザーズ賞本誌1985年版収録。以下、
loser とは敗者のことだから、いわば「負けっぷり賞」である。1957年2月から3月にかけて、モスクワで開かれた世界アイス・ホッケー選手権大会でオーストリアと最下位を争って8チーム中7位を確保した日本チームがこの賞を受けた。といっても、なんでも負ければいいというのではなく、ファウルが少ないというフェアプレー賞でもある。 |
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